※ドラマCD【図書委員会の段】その後のお話のようなもの。
「ぴ、きゃーーーーーーーー!!」
学園中に響く子供特有の甲高い声。
ある者はまたかと溜息を吐き、別の者は目を光らせ一部始終を見守っている。
「はぁい♪今日は私の勝ちだね。乱太郎」
「う、ううう。二日連続で伝子さんなんて、三郎先輩ヒドいですぅ」
「だって、昨日の反応があまりにも面白おかしくてつい」
「つい、じゃないですよぉ」
「ははっ」
頬を膨らませ不貞腐れる乱太郎が、とても可愛いくて愛おしくて頭を優しく撫でる。
「(この子はとても不思議な子)」
私の真っ暗闇な世界にいとも簡単に飛び込んできた不思議な子。
誰も踏み込ませなかった世界になんの前触れもなく入ってきた乱太郎の存在は、違和感なくそこにある。
「(あたかも昔からいたかのように君はここにいる)」
だからか。
私の世界に入り込んだ乱太郎を、こんなにも構いたくなる。
「三郎せんぱい、」
「ん?」
「次は伝子さんだけはやめてくださいね!」
「ぷっあはは!それは酷い言い様だな、乱太郎」
「だって伝子さんはあまりにも強烈すぎますから、心臓に悪いんです」
「まぁそれは言えてる」
「だったら控えてください」
「ん――…、それは無理な相談かな」
なんて悪戯っぽく言えば「え―――ー!!」と言う不満が返ってきた。
乱太郎ってホント飽きないよな、いろいろと。
表情がころころ変わるから、見てて飽きない。
「だって乱太郎が悪いんだから仕方ないじゃない」
「…え?」
私の言葉にキョトンとする乱太郎。
それがあまりにも可愛くてクスリと笑う。
「私、何か三郎先輩を怒らせる事しましたか?」
さっきまで不満げだった顔が、不安そうな顔へと一変する。
そんな乱太郎にはきっと残酷な言葉を発する私はきっとダメな先輩だろう。
「うん、そうだよ」
たった一言が地獄のような言葉に聞こえただろう乱太郎は、可愛らしい大きな目を丸くし、ショックを受けたような顔をした。
「(…ヤバい、泣くだろうな。これ)」
いや、そうさせたのは私なんだけれども。
けれど、この焦りは何だろうか…。
ただビックリさせたくって思ったけど、これただたんに泣かせる目的じゃないか、私。
「…だって、乱太郎。あの時、驚かなかったから。」
「あの時?」
「そう。きり丸のバイトの代理で一緒に行くはずだった大雨になった日」
「・・・・・・、」
うーんと考え込む姿に、ホッとする。
泣かれずに済んだみたいだ。
乱太郎に泣かれたら、凄く困る。
好きな子ほどッて言うだろ?
「あ!あの図書委員会の洞窟事件ですね!?」
「うん、そう」
「ああ、なんだか納得しました」
「納得?」
何が納得なんだ?
俺が怪訝そうに言うと乱太郎はコクリと頷く。
「その事件が起こる前は、頻繁に私達一年を驚かせてたのに、あれ以来私だけを驚かせるようになったので、もしかしてと思いまして」
「・・・・・・、」
「私だけが、まったく驚かなかったというか怖がらなかったのが悔しかった、んですよね」
確かめるかのように、チラリと私を見る小さな子。
ああ、もう!この仕草が一番破棄的な可愛さだって知っててやっているのか!この子は!
「うーむ…、半分ハズレで半分正解かな」
「えー!?なんですかそれ!」
ぶーぶーと文句立たれる乱太郎に、申し訳ないと思いつつ、この気持ちは自分の中にしまっておこうと思った。
「(あれが嬉しかったなんて、誰に言えようか)」
それはそれは、もう。
君とあんなやり取りすることが、あまりにも嬉しくて、楽しくて。
だから私は、どの下級生よりも、この子を構いたくなるのだ。
愛しい愛しい、幼子を。
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「ぴ、きゃーーーーーーーー!!」
学園中に響く子供特有の甲高い声。
ある者はまたかと溜息を吐き、別の者は目を光らせ一部始終を見守っている。
「はぁい♪今日は私の勝ちだね。乱太郎」
「う、ううう。二日連続で伝子さんなんて、三郎先輩ヒドいですぅ」
「だって、昨日の反応があまりにも面白おかしくてつい」
「つい、じゃないですよぉ」
「ははっ」
頬を膨らませ不貞腐れる乱太郎が、とても可愛いくて愛おしくて頭を優しく撫でる。
「(この子はとても不思議な子)」
私の真っ暗闇な世界にいとも簡単に飛び込んできた不思議な子。
誰も踏み込ませなかった世界になんの前触れもなく入ってきた乱太郎の存在は、違和感なくそこにある。
「(あたかも昔からいたかのように君はここにいる)」
だからか。
私の世界に入り込んだ乱太郎を、こんなにも構いたくなる。
「三郎せんぱい、」
「ん?」
「次は伝子さんだけはやめてくださいね!」
「ぷっあはは!それは酷い言い様だな、乱太郎」
「だって伝子さんはあまりにも強烈すぎますから、心臓に悪いんです」
「まぁそれは言えてる」
「だったら控えてください」
「ん――…、それは無理な相談かな」
なんて悪戯っぽく言えば「え―――ー!!」と言う不満が返ってきた。
乱太郎ってホント飽きないよな、いろいろと。
表情がころころ変わるから、見てて飽きない。
「だって乱太郎が悪いんだから仕方ないじゃない」
「…え?」
私の言葉にキョトンとする乱太郎。
それがあまりにも可愛くてクスリと笑う。
「私、何か三郎先輩を怒らせる事しましたか?」
さっきまで不満げだった顔が、不安そうな顔へと一変する。
そんな乱太郎にはきっと残酷な言葉を発する私はきっとダメな先輩だろう。
「うん、そうだよ」
たった一言が地獄のような言葉に聞こえただろう乱太郎は、可愛らしい大きな目を丸くし、ショックを受けたような顔をした。
「(…ヤバい、泣くだろうな。これ)」
いや、そうさせたのは私なんだけれども。
けれど、この焦りは何だろうか…。
ただビックリさせたくって思ったけど、これただたんに泣かせる目的じゃないか、私。
「…だって、乱太郎。あの時、驚かなかったから。」
「あの時?」
「そう。きり丸のバイトの代理で一緒に行くはずだった大雨になった日」
「・・・・・・、」
うーんと考え込む姿に、ホッとする。
泣かれずに済んだみたいだ。
乱太郎に泣かれたら、凄く困る。
好きな子ほどッて言うだろ?
「あ!あの図書委員会の洞窟事件ですね!?」
「うん、そう」
「ああ、なんだか納得しました」
「納得?」
何が納得なんだ?
俺が怪訝そうに言うと乱太郎はコクリと頷く。
「その事件が起こる前は、頻繁に私達一年を驚かせてたのに、あれ以来私だけを驚かせるようになったので、もしかしてと思いまして」
「・・・・・・、」
「私だけが、まったく驚かなかったというか怖がらなかったのが悔しかった、んですよね」
確かめるかのように、チラリと私を見る小さな子。
ああ、もう!この仕草が一番破棄的な可愛さだって知っててやっているのか!この子は!
「うーむ…、半分ハズレで半分正解かな」
「えー!?なんですかそれ!」
ぶーぶーと文句立たれる乱太郎に、申し訳ないと思いつつ、この気持ちは自分の中にしまっておこうと思った。
「(あれが嬉しかったなんて、誰に言えようか)」
それはそれは、もう。
君とあんなやり取りすることが、あまりにも嬉しくて、楽しくて。
だから私は、どの下級生よりも、この子を構いたくなるのだ。
愛しい愛しい、幼子を。
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