「らーんたろーくーん♪」
「…」
「そんな怖い顔しちゃ可愛い顔が台無しだよー?」
「…何しに来たんです。雑渡さん」
「今日も冷たいねぇ、乱太郎くん。そんな君も大好きだけどね」
「貴方が、いつもそうですからね」
「出会った頃は、あんなに素直で純粋だったのに。」
「それは、下級生だった頃のお話でしょう」
一体いつ頃のお話を言ってるんですか。
そう冷たく放った乱太郎に、雑渡は嬉しそうに目を細め笑った。
「(ああ、ぞくぞくする。こんなに冷たい態度をとるのは、私だけだと思うと堪らなくなる)」
誰にでも優しく接する乱太郎が、雑渡だけに見せる冷たい態度。
これが堪らなく嬉しくて、この関係がずっとずっとやめられないのだ。
「(でも、そんな君に恋焦がれてるのだと言えば、君はなんて顔をするのだろうか)」
歪な感情
(私を好きだった幼子は、もうここには居ない)
(それを知っていて悪戯に弄んだこの結果なのだから、私は苦でも何でもない)
(むしろこの結果が、私の幸福なのだから致し方ない)
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