「乱太郎はいるか?」
その声に、教室にいた一年は組のいい子達が振り向いた。
その視線は、敵意に満ちているようだが、声の主は何とも思っていないのか、気にしていないようだ。
「はい!何でしょうか?立花先輩」
「ん…お前に渡したいものがある」
「渡したいもの?」
「ああ。ここではちょっと…」
ふっと綺麗に笑う仙蔵に、乱太郎は心なしか頬が赤くなっていた。
その姿があまりにも可愛くてよりいっそう笑みを深くする。
「さぁ、行こうか」
そう言って乱太郎の手をさり気なく繋ぎ、ある場所へと向かって歩いて行った。
「先輩、渡したいものって何ですか?」
「ん?それは私の部屋に着いてからのお楽しみだ」
「お楽しみ、ですか?」
その言葉に頷けば、クルクルした大きな目がキラキラと光り出す。
それはもう楽しみで仕方ないだと言わんばかりに。
「(ふふ、可愛い可愛い私の乱太郎)」
愛しくて堪らないその笑顔。
それが見たくて仙蔵はいろんな事をする。
怒る顔だって可愛くて仕方がないが、やっぱり笑顔が一番、大好きである。
「乱太郎、これを」
「これは?」
仙蔵の部屋に着き、渡されたものは木箱である。
チラリ、と視線を上げると笑顔で優しく「開けていい」と促がしてくれた。
「わ、これって…」
「ああ、そうだ」
蓋を開ければ、色とりどりの粉の数に乱太郎を驚きを隠せないでいた。
「でもこんな高価なもの、どうして私に?」
嬉しい、けれど、少し困惑した顔で仙蔵の顔を見る。
「お前の笑顔を見たいがためだ、乱太郎」
恋人のお前を喜ばせるのは当たり前だろう。
ささやかな贈り物
(それにしたって、高価すぎます!)
(任務先の城の殿様が、褒美は何でもいいと仰ったから、それを頂戴したんだ。気にするな)
(だからって…)
(嬉しくはないのか…?)
(っ!嬉しいに決まってます!)
‐‐‐
この時代、絵の具の顔料なんて言えばいいんでしょうか…?
普通に絵の顔料って表現すればいいのか?←
曖昧な表現ですいません
スポンサードリンク