二人だけの秘密





「あ、らんたろーくーん!」
「!小松田さ、あ」


どってーん。
バサバサ!!!


「だ、大丈夫ですか!」
「ううぅ…鼻が痛い」
「…壮大にこけましたね」


鼻をおさえる小松田に、乱太郎は苦笑い。
ふと、散らばってしまった書物に気づき、拾いあげていく。


「ごめんねぇ、乱太郎くん」
「いえいえ、気にしないで下さい。私がこうしたいだけですから。」


ニッコリと微笑む乱太郎に、小松田は心が、ホッコリする気持ちになり「やっぱり優しい子だ」と思った。


「書物も拾った事ですし、保健室へ行きましょうか」
「ええっ!?」
「鼻に擦り傷つけたままだったら、吉野先生に怒られちゃいますよ?」
「うう…それは勘弁だなぁ」


それじゃさっさと行きましょう。
そう言って手を引く乱太郎の姿に、どっちが子供なんだろうかと思わず思ってしまった。


「あ、そう言えば私に、何か用だったんですか?」
「え?ああ、実はね。吉野先生から、美味しいお饅頭を頂いたから、乱太郎くんと食べようかと思ってね」
「え、いいんですか!?」
「うん!もちろんだよ!この事は、僕と乱太郎くんの二人だけの秘密だからね?」
「はい!」


悪戯っぽく笑う小松田に、無邪気に笑う乱太郎達は微笑ましい姿だった。



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