乱太郎は、空を見上げた。
なんて快晴的な空だろうか。
雲一つない。
気温もポカポカしてて、お昼寝にはちょうどいい。
…でも、視界には“穴掘り小僧”の異名を持つ綾部喜八郎がいる。
丸い形から覗く綾部の姿が、はっきりと。
「あららら」
「…あらららじゃないですよ、もう」
「ふふ、ごめんね?」
「これっぽちも思ってないくせに…」
「なーに?」
「うー…何でもないです!!もー!綾部先輩の馬鹿!助けてくださいぃ!」
相変わらずのマイペースな綾部に、乱太郎は半泣きで助けを求める。
しかし綾部は、うーんと考え始めた。その姿に、はぁ…と深く溜息を吐く。
なんで、いつもこうなんだと言いたいが、このやり取りは毎日と言ってもいいぐらいに繰り返されている。
(言ったって、きっと直らない。この人の性格は。)
もう知っている。
幾度なく穴に落とされて、何を言ったってそれを楽しむかのように、笑っている彼の性格を。
でも、それが不思議と嫌じゃない自分がいる。
(本当に不思議…)
これはもう、きっと。
彼を好きになった代償なのかもしれない。
「乱太郎、」
「はい?」
「風呂に入ったら、日向ぼっこをしようか」
「…はい////」
ようやく助けられた乱太郎は泥だらけで、綾部も穴を掘ったせいで泥だらけ。
大人しく綾部の腕の中で収まっている乱太郎は、顔の近さに照れていた。
チュ…
「うぇぇぇ!??////」
「毎度ながら、色気のない声」
「こ、子供の私にそんなの求めないでくださいぃ///」
「へー、乱太郎、自覚あったんだ♪」
クスクス笑う彼は、見惚れてしまうぐらいとても綺麗だ。
惚れた弱み
(だから何も言えない。それを彼も知っててやるのだから、尚更、達が悪い)
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